2113/01/01

ご挨拶

始めて会ったときは、まだ、お母さんの背中で泣いていた赤ん坊が成人したり、小学生だった子どもが小学生の親になっていたり、親しくしていた友人がいなくなったり。毎年欠かさず通っている間に、様々なことがあり、長い年月が経ちました。
このブログで取り上げるポイントホープの概略については、ウェブサイトを立ち上げて説明してきました。ただし、普段の、普通の出来事については、ポイントホープ滞在中に時々掲示板に書き込む程度でした。
このブログでは、ウェブサイトでは、触れていない様なことも含めて、思いつくままに書いて行こうと考えています。

ものぐさな性格なので、更新が滞ることも多々あるとは思いますが、気長にお付き合いください。

基本的にコメントは付けませんが感想、質問等はご自由にお書きください。
また、こちらで不適切と判断した書き込みについては、承諾なしに削除する場合があります。ご了承ください。

その他
 既存の投稿について、特に断りなく加筆、修正することがあります
 故人の方々は特に支障がない限り、本名を記載していますが、その他の方々については、イニシャルあるいは仮名で記載しています。

2111/05/08

お願い

このブログで取り上げている町、ポイントホープは人口700人程度の小さなコミュニティで、特にこれといった観光施設はありません。
このブログを読んで、ポイントホープの人たちの生活に興味を持ってもらえることは、とてもありがたいことだと思っています。
ただし、彼らが行っているクジラ猟をはじめとする各種狩猟は、生活のために行っているものであり「見世物」ではありません。

例えば、このブログや、某著名な写真家の写真や素敵な文章を読んでクジラの猟に興味を持ち、クジラ猟の時期のポイントホープを見てみたい、と思ったとしても、もしそれだけの理由でポイントホープへ行こうと思ったのなら、止めた方が良いでしょう。
はっきり言ってクジラの猟は待ちの猟であり、氷点下の氷の上で何日もひたすら待ち続け、クジラが捕れれば、今度は血まみれ脂まみれの不眠不休の莫大な肉体労働が待っています。体力的、精神的にかなり過酷な仕事です。

通りすがりの人がちらっと猟の様子を見て書いた感動的な文章を読み、この地に憧れる人がいるかもしれません。
しかし、実際にこの場で生活している人間にとってのクジラ猟は、命がけでクジラを追い、何時間もかけてヘロヘロになりながら氷上に引き上げ、巨大な肉塊をいかに素早く、効率よく解体していくか、それだけです。

綺麗な写真や感動的な文章に憧れて、大挙して日本人が押し寄せてきても、僕は対応しかねますし、猟をしている当の本人たちにとっても、大変迷惑な話になります。
命をかけて生活の糧を得ている場所に、カメラをぶら下げた観光気分の人たちがぶらぶらしていたら邪魔ですし、来るべき獲物もその場所を避けて行ってしまうでしょう。

本当にエスキモーの生活に興味があり、何が何でも、それこそ人生を棒に振ってでも一緒に猟をしてみたい、というくらいの心意気があるのなら、相談には応じます。
ただ、滞在先は紹介しかねますので、自分で探してください。その方がはっきり言って面白い体験ができると思います(ホテルはなくなりました)。

僕の場合、昔からエスキモーのことが大好きで、おそらく日本国内で出版されているエスキモーに関する書籍の半分以上は入手して読んでいるはずです(年とともに忘れてしまったことも多いですが)。
そして日本での生活のかなりの部分を犠牲にして、ポイントホープへ通い続けています。
中途半端な気持ちで毎年ポイントホープへ通い続けているのではない、ということをご理解ください。

クジラ猟に限らず、ポイントホープに関する商業的な取材を行いたい方は、まずNative Village of Point Hope等へ問い合わせて、取材許可を得てください。
時期的なものなど、詳細は相談に応じますので、何なりとご質問ください。ただし当ブログに色々なことを書いているので、事前に読んでおくことをお勧めします。

Point Hope

2024/04/01

ニューヨークの和食レストラン(ないですよ)

 以下の文章は、全てエイプリルフールのネタです。
こんなレストランはありません。
ちなみに「Anaq」とは、イヌピアックエスキモーの言葉で「うんこ」のことです。
「世界最高のうんこレストラン」の記事となっております。
それ故に「攻めた名前だな」なんて書いてるわけです。


大学の同級生で今はニューヨークでWEB系のレストラン紹介サイトの記者をやっている岩内真実(いわうちまさみ)という男がおりまして、彼からニューヨーク州の日本食レストランのことを書いたから読んでくれと、記事が送られてきたんですよ。

英語の記事だし、読むの面倒くさいので、google 翻訳をかけてみわけですよ。
第一印象は、攻めた名前のレストランだな、と。

なんで誰も止めなかったんだろう、って思ったけど、誰も知らんよな。
でも、穴子も穴きゅうも美味しいよね。


以下、翻訳。

日本の誇る海産物のひとつ穴子(アナゴ)。寿司屋で頂くふんわりと柔らかく仕上げた煮穴子の握りは絶品である。
また、居酒屋や小料理屋の突出しとしてお馴染みの、穴子と胡瓜を使った酢の物「あなきゅう」も日本酒のあてには欠かせないものであろう。
日本ではとても馴染み深い穴子であるが、海外での認知度はまだまだである。そんな中、世界中の有名レストランが集まるニューヨークに穴子専門のレストランが開店する。
店主は日本橋の老舗寿司店で修行したのちロサンゼルスへ移住し、本物の「日本の寿司」を知らしめたいと寿司店を開く。しかし、現地で最も人気があり、市民のソウルフードとされる「カリフォルニアロール」を置いていなかったがために苦戦。閉店に追い込まれた。
この度、心機一転ニューヨークに居を移し、寿司ネタの中で最も好きだった穴子を専門としたレストランを開店することとなった。
アナゴは日本からとれたてを飛行機で生きたまま直送され、調理される。
店主曰く
「穴子は東京湾のものが最高に美味い。中でも羽田沖のものに敵うものはない」
産地にこだわった結果、羽田空港に程近い羽田漁協の協力もあり、当日とれた新鮮な穴子が羽田空港からニューヨークへ向けて飛び立つという。
穴子料理のうち、店主の最も好きな「あなきゅう」を店名とした。
「Best AnaQ restaurant in the world」
店名に添えられた一文に、店主の自信の程が窺える。


2023/07/27

新聞

今年(2023年)5月のクジラの猟期中、Anchorage Daily News(及びArctic Sounder)の記者の方がポイントホープに取材に来ておりました。
ちょうどそのとき、叔父のJanがクジラを捕り、引き上げ解体の様子を取材して、なかなか良い記事を書いています。

その際、妙な日本人がいる、ってことで声をかけられ、氷の上で簡単な取材を受けたのです。
立て続けに質問をされたところで、近年、ド忘れの度合いが激しくなり、まともに質問に答えられるはずもなく。後日、改めて、家の前で取材を受け、写真を撮られ。

その後も何度か連絡が来て、生まれてから今に至るまでを事細かに聞かれ。
おかげで忘れていた子どもの頃の記憶がいろいろと蘇ってきて、ああ、あの頃はあんなことをしていたり、考えたりしていたんだな、と懐かしい気分になったり。

7月も終わりに近づき、日本に戻って暑さに喘いでいるある早朝、まだ暗いけれど目が覚めて、時間を確認するために、携帯電話を開くと、朝の4時。
また寝よう、と思いつつFacebookを開いてみると、なぜか自分の名前が大量に上がっている。
何事だ? 何か悪いことをしたか?
と、よく見れば、先日の取材結果が記事として上げられています。アラスカの友人たちが、それを読んでシェアしてくれていたのでした。

Anchorage Daily Newsの方は、何度か見ていると、金払え、って言ってくるので、コツビューの週刊新聞、Arctic Sounderのリンクを貼っておきます。

ArcticSounder

プロが撮ると、おっさんの顔でさえ良い顔になりますね。

2023/06/30

大型アザラシの縛り方

 以前、ウグルック(アゴヒゲアザラシ)の捕まえ方を掲載してますが、その一部の詳細版という感じ。

近年のウグルック猟ではボートを使うことが多く、捕らえたアザラシを陸まで曳航していかなくてはなりません。
ウグルックは2m程度はある大型のアザラシなので(体重も相当重い)、きちんと縛らないと外れて沈んでしまう可能性があります。かといって、縛るのに時間をかけるわけにもいかない。

我々が普段使っている縛り方は、上顎の頬の部分に穴をあけてロープをかける方法。

以下解説ですが、あまりに生々しい色だったので、モノクロに変えてあります。

アザラシの上顎、歯と頬の間にナイフを入れ貫通させる
穴が小さいようであれば、上からもナイフを入れて穴を広げる  
  
ロープをU字形にして、穴に入れる

内側から出たU字の部位を上顎に回し、ロープの一端をくぐらせる

縛って完成。一方の端をボートに固定

 少々わかりにくいかもしれませんが、日本で使うことはないと思われるので。。。
本当に知りたい方は、会った時にお教えします。

今年は長いこと血を噴出させる個体が多く、着ていた服は血塗れに。曳航中もこんなことになっていて。。。
 
おまけに頭を撃ち抜かれて脳がないのに、泳いだり暴れたりしている個体もいて。
一体何が起きているんでしょう。
 


2023/04/01

新しい雑誌の紹介(ではありません)

以下、エイプリルフールのネタです。
本当にごめんなさい。


今まで中国には行ったことがないのですが、戦前「北京のおじさん」って呼ばれていた父の叔父で医者だった人がいたそうなんですよ。(これは事実です)
先日、Facebookで中国の友人とやりとりしていたら、1930年代にその人のお爺さんが北京でとても仲の良い日本人医師がいたと話をしてくれたことがあると。(こんな友人、いません)
まさかそれが「北京のおじさん」だとは思いませんけど、世の中どこで繋がっているかわかりませんからね。

さて、何年か前にシアトルで1泊した際、現地在住の中国系アメリカ人の方と出会いました。
宝石デザイナーをしている邬桑(Wū Sāng)という方。
彼のデザインする指輪やネックレスなどのアクセサリーは、派手さはないのですが、とても上品で、つけている人の品位を高めるというか、素人で宝石なんて全く知らない自分が見ても、惚れ惚れするほどのものでした。

去年の夏、その彼から「日本でも宝石を売ってみたいんだけど、何かコネはないか」と連絡がありました。
宝石なんて縁がないですから、どうしたもんかと思っていたら、大学時代からの友人で、編集者をやっている岩内真実が (いわうちまさみ:いわないしんじつ)
「例の週刊シリーズでジュエリー関係の特集誌を作るんだけど、何かネタはないか?」と。なんたる偶然でしょう。
「誌名はやっぱり『週刊宝石』か?」と聞いたら、さすがにその名前は無理なので「週刊ジュエリーデザイン」になったそう。

というわけで岩内に邬(ウー)さんを紹介してあげたのです。
岩内が御徒町の宝石屋さんへ取材に行く、というので、ちょうだいいやって、ウーさんの紹介がてらついて行きました(ご存知かもしれませんが御徒町は宝石店が多いのです(これは事実))。取材に伺ったのは馬飼萌音さんと言う方のやっている「monne」というお店です。その筋では有名な店なので、知っている人もいるかと。(宝石店で「まがいもんね」はいかがなものでしょう。もちろんmonneなんて店、ありません

店主の萌音さんにウーさんの作品を見せたところ(写真ですけどね)、たいそう気に入っていただけて、その場でウーさんに連絡。そして萌音さんの店のオリジナルブランド「Cool Shine」と是非コラボしたいと。
結果「Woo Sun Cool Shine」という名義で売り出すことになりました(「Cool Shine」は、萌音さんの店のブランド)。(うーさんくーしゃい:胡散臭い)
「週刊ジュエリーデザイン」の創刊号の特別付録は、「Woo Sun Cool Shine」のジュエリーだそうです。どんなものかは開けてみてのお楽しみってことで。

それはそうと、街角アニータって可愛いよねえ。

もう書店に並んでいるはず

写真は、どれもフリー素材。なので誰やら存じません。
先日「道端ジェシカ」というモデルさんが、MDMA輸入して捕まった、という話から、アニータを思い付いてます。

アニータの経歴は以下の通り

街角アニータ
日本人の父、チリ人の母を持つ。青森県出身。
生まれて間もなく、母の帰郷に伴いチリへ移住。チリでは母が建てた豪邸で義父やメイドたちに囲まれ何不自由なく育つが、母が語る日本、特に青森での素朴な暮らしに憧れ来日。
東京で語学学校に通いながらアルバイトをしているところを現在の事務所社長にスカウトされ、モデル活動を始める。
この後、彼女の生い立ちを知った週刊誌の企画で実父との再会を果たしている。この時、実父は収監中であったが、なぜ収監されているかは明かにされなかった。
元夫はフィンランドのラリードライバー、オリ・ヴァカネンである。
妹が2人おり、2人ともファッションモデルとして活躍しており「街角三姉妹」として知られる。

 

2023/01/10

2023年もよろしくお願いします。

気がつけば年が明けて10日も経ってしまっています。
今年の正月は、久しぶりに実家へ帰省し、のんびりと食い倒れておりました。

卯年だから飛躍の年だ、とかなんとかおっしゃる方も多いですが、今更飛躍って言ってもねえ。。。
例年通り、無理せずに無茶せずに、思い切り楽しんでいきたいと思っております。結果的に何か新しいことが始まったら、それはそれ、面白いですよね。

昨年、北極圏最後の夜に、夕陽を見に行った帰りの深夜、コツビューの町を歩いていたら、ウサギを見かけましてね。ブレてますが、卯年ってことなので写真を上げておきますしょう。

コツビューのウサギ
忙しい旅館の女将さんが、ちょこまか走ってるように見えますね。

   
2022年のクジラ

2021年は、コロナによる隔離の影響で、クジラの猟には出られなかったのですが、2022年は猟にも解体にも参加できて、自分的には満足のいく猟期でした(我々のクジラ組で、鯨が捕れなかったのは残念でしたが)。

昨年からの円安の影響で、アメリカへ行くのも現地で生活するのもなかなか厳しい状況です(おまけにここのところ個人的に出費が多かった)。だからと言ってアラスカへ行かないとぶっ壊れそうなので、帰ってきて、金が無くて首が回らなくなるかもしれないけれど、今年も行く予定です。

そんな私ではありますが、今年もよろしくお付き合いのほど、お願いいたします。