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2023/06/30

大型アザラシの縛り方

 以前、ウグルック(アゴヒゲアザラシ)の捕まえ方を掲載してますが、その一部の詳細版という感じ。

近年のウグルック猟ではボートを使うことが多く、捕らえたアザラシを陸まで曳航していかなくてはなりません。
ウグルックは2m程度はある大型のアザラシなので(体重も相当重い)、きちんと縛らないと外れて沈んでしまう可能性があります。かといって、縛るのに時間をかけるわけにもいかない。

我々が普段使っている縛り方は、上顎の頬の部分に穴をあけてロープをかける方法。

以下解説ですが、あまりに生々しい色だったので、モノクロに変えてあります。

アザラシの上顎、歯と頬の間にナイフを入れ貫通させる
穴が小さいようであれば、上からもナイフを入れて穴を広げる  
  
ロープをU字形にして、穴に入れる

内側から出たU字の部位を上顎に回し、ロープの一端をくぐらせる

縛って完成。一方の端をボートに固定

 少々わかりにくいかもしれませんが、日本で使うことはないと思われるので。。。
本当に知りたい方は、会った時にお教えします。

今年は長いこと血を噴出させる個体が多く、着ていた服は血塗れに。曳航中もこんなことになっていて。。。
 
おまけに頭を撃ち抜かれて脳がないのに、泳いだり暴れたりしている個体もいて。
一体何が起きているんでしょう。
 


2016/12/11

魚の捕り方

Kuvruq(クブラック)、すなわち網を使って魚を取る方法について。

海岸に置いた刺し網
ポイントホープの海での網を使った漁は、海岸に刺網(さしあみ)を仕掛け、海岸に沿って移動するサケやマスを捕獲する漁である。

この漁は海から完全に氷の無くなった6月下旬から8月にかけて行われており、6月頃、漁の初期は北上するサケマス、8月は南下する太ったマス(ホッキョクイワナ)が捕れる。
使用する刺網は、目の大きさ15センチ程度、長さ20メートルほどの網。
 かつては自分で編んでいたそうだが、現在は市販の網を使用している。

網の設置方法
波打ち際近くに、重りを海側、浮きを陸側にして網を広げる(写真参照)。

重り。これはコンクリート製
海中に沈めるアンカー代わりの重りを用意する。
写真のものはコンクリート製だが、土嚢袋や麻袋に海岸の小石を詰めたものも使っている。
この重りには、シャックル(U字形の連結金具)が縛り付けてあり、網の長さの3倍程度のロープが通してある。このロープは、端同士が結んであり、大きな輪となっている。


網を沖へ送る棒

重りを沖へと送るための棒。
2X4材を釘やネジで繋いだもので、長さはロープより少し短い程度。
先端部には重りを引っ掛ける切り欠きとと、ブイが付いている。
このブイは重りを沖に送る際、重りが沈んでしまわないようにするためのもので、ポリタンクやポリエチレンの樽など、浮力のあるものであれば何でも使用する。

ちなみにこの棒、普段は海岸に置きっぱなしで、海岸のあちこちに置いてある(それぞれの棒に所有者がある)。
初めてこれを見たときは、これが一体何なのか、全く想像がつかなかった。


切り欠きに重りを引っ掛ける
先端の切り欠きに重りを引っ掛け、重りに付いたロープを棒に沿って引き延ばす。
 1人は水際近くに、足をロープの輪の中に入れて立つ。これはロープだけが海の中へ行ってしまわないようにしておくため。
もう1人は棒の陸側の端に立つ。





棒とともに重りを沖へと送り出す。

準備が整ったら、陸側の人間が棒を持って海に向かって押す。
 この時、ある程度の速度で、さらにその速度を保ち続けないと、重りが途中で海底に落下してしまう。
海側の人間は、棒が海岸から垂直に沖に向かうように手を添えて調整する。

陸の人間が水際までたどり着いたなら、そこで棒を少し引くと、棒から重りは落ち、海底へと落下する。
棒はこれで用済みとなるので、陸上へ引き上げる。

ロープの末端を網に結ぶ
ロープの大半は重りとともに水の中。ロープの端の結び目が手元近くにある。
この結び目を、網の手前側の端に結び付ける。 向こう側の端は海岸に杭を打ち込んで、そこに結び付ける。







網は完全に水の中へ。
左のロープを引くと、網が上がってくる。
ロープの片方を引けば、網の手間側の端は沖の重りへと引かれていく。
網には上部に浮き、下部に重りがあるため、水中で垂直に立ち上がる。

 魚がやってくるのを待つ。
 魚がかかると浮きがビクビクと動く。
 群れがやって来たなら、その群れが網に向かうように大量の小石を投げ込む。

網に魚が掛かったなら、片方のロープを引き、網を海岸へと引き上げ、魚を回収。
その後、再び網を海へと入れ、漁を続ける。

6月下旬、その年初めての漁では、マスが2尾。
サケマスのほか、海底にいる全長20センチほどのカレイや、ニシンが網に引っかかって捕れることもある。ニシンは食用になる。
ある時、このカレイを持ち帰り、煮付けを作ったことがあるが、気持ち悪がって誰も食べようとしなかった。
このカレイ、体表に硬い石のような鱗があり、 皮を剥ごうとして、指先が切り傷だらけになってしまった。


2016/05/06

水中マイクを使ったクジラの歌


2016年も4月26日よりポイントホープ入りしております。
翌日から、かなり風が強いものの、ほぼ毎日のようにクジラの猟に出ております。

さて。
日本にいる間に、突然思い立って作った水中マイク(ハイドロフォン)。
上が本体。下はアンプ。
材料は
・アクリルの端材(端材なのでただ、厚さ5mm、3mm)
・圧電素子(30円くらい)
・Oリング(2個で300円くらい)
・シールドケーブル3m(100円/1mくらい)
・マイク端子(60円くらい)。
ポリカーボネイトのネジ(全部で300円くらい)
※ネジは当初ステンレスのネジを使ったけれど、触るとノイズを拾うので、に変更(効果は不明)。

アクリル板を切り出す際、ものぐさして八角形にしてしまったため、ネジの数が多くなってしまったけれど、他の製作例を見ると、六角形で良さそう。

ケーブル取出し口の防水には「プラリペア」、エポキシ系接着剤、水中用エポキシパテ。いずれも在庫品。ただし、エポキシ系接着剤以外は、新たに買おうとすると結構高め。
以前、流水中で使う水中ビデオカメラのケーブル取出し口の防水で、ひどく苦労したことがあったので、ケーブル取出し部の防水には念を入れたが、静水中の浅い場所で使う分にはそれほど神経質にならなくても良さそう。

単体でも音は拾えたけれど、音がちょっと小さめだったので、秋葉原でマイクアンプのキット(箱など含めて1500円ほど)を買ってきて、ボタン電池とともに、小さな箱に無理やり押し込む。

材料費だけだと、アンプも含めて、3000円くらいで作れたのかもしれない。ただ、いろいろ試行錯誤しているので、無駄に金はかかっている。
製作時間も、思考錯誤しつつ組んではバラししていたので、おそらく延べで数日。

製作される方は、例えばこんなサイトを参考に。
Freeth

自宅テストでは、台所、風呂場で水滴の音を録音する程度。その際、ノイズを拾いまくるので、ネジをプラスチックに変えたり、圧電素子の後ろにシールド代わりのアルミテープを貼ってみたり、いろいろやってみるも、ほとんど効果はなかった。

当初、iPhoneで録画録音しようと思っていて、マイクの接続に一苦労し、インピーダンスがどうのこうのの接続用のケーブルを作ったりしたものの、実際現場に出てみれば、常に持ち歩いている一眼レフにつなげるのが一番手っ取り早いと判明。

猟に出た当初は風が強く、試しに水中にマイクを水に入れてみるも、水が氷に当たる音を拾うばかり。
風が弱まり、クジラを追ってボートが出払ったキャンプでぼんやりしていると、近くで別のクジラがブリーチングを始めた。
慌てて水中マイクを引っ張り出して、水に入れて、ぶら下げていた一眼レフカメラでビデオ撮影。
イヤホンを忘れたので、聞きながらの録音はできないが、録画後再生してみると、クジラが上げる水しぶきの音まで録音できていた。
以外と高性能なものができたらしい。
命名「灰泥素子」さん。
ブリーチング

後日、ベルーガの大きな群れが通過し続ける際にマイクを突っ込んだものがこれ。ものすごく賑やか。
ベルーガの群れ 

日が沈んだ後、朝方の静かな海にマイクを入れてみたもの。クジラの姿は見えないけれど、声は聞こえてくる。そして船外機から垂れる水の音も記録されている。
朝の海

日本でも、クジラ、イルカのいる海域で使えるかもしれません。是非、お試しを。