本来なら全面結氷しているはずの2月でも水面が見えていることがあった2015年のポイントホープ。近年は年が明けても開水面が見えていることが多くなったようだ。
早速小型のクジラ(10m弱)が2頭、立て続けに捕れ、今年の猟も順調かと思いきや、その後は開水面が閉じてしまい、薄い氷は5月上旬まで開くことはなかった。
5月上旬、ようやく氷が開いたものの、氷は20cm程度と非常に薄く、たとえクジラが捕れたとしても、果たしてどこへ引き上げれば良いのかという状態だった。
その間、シャーベット状の氷が浮いた小さな水面で、全長5メートルほどの産まれて間もないクジラを捕ってしまうという「事件」もあったが、わずか数日で5月の猟は終了。
その後は強い北風が吹こうが南風が吹こうが、薄い氷は全く動くことはなく、雨と日差しで、氷はさらに薄くなっていった。
5月中旬以降、衛星写真を見ると、ベーリング海の氷はほとんどなく、ポイントホープの周りにわずかに張り付くように残っているような状態だが、氷は全く動かない。
5月下旬になり強い北風が吹き続け、ようやく氷が動き始めたが、今度は風が止まない。風が止まなければ、ボートを出すことはできず、悩ましい日々が続く。
6月になりようやく風が止むが、既にクジラの姿はない。ウグルック(アゴヒケアザラシ)猟の季節になってしまった。
例年、クラカケアザラシを見ることは滅多にない。
また、この時期の海にはアゴヒケアザラシかワモンアザラシしか見ないはずなのだが、ゴマフアザラシ(カシギァック)が群れをなして泳いでいる。アゴヒケアザラシだと思って仕留めた獲物がゴマフアザラシだったことが何度かあった。
この町ではゴマフアザラシを食べることはない。
例年だとゴマフアザラシは、アゴヒケアザラシ猟のあと、海から氷が無くなったあとに波間で遊んでいるのを見るくらいなのだが。
穏やかな日は2日程、その後、吹き始めた強い北風によって氷は沖へと流され、海岸近くに氷はほとんど無くなってしまった。そして次の南風でわずかに氷は戻ってきたものの、強風と波に氷は打ち砕かれてしまった。
6月中旬には完全に氷は無くなり、クジラ祭り、カグロックの際に海には氷がないことは前代未聞だ、とのことだった。
ツンドラに立って耳をすますと、シュクシュクという鳴き声が聞こえ、周りを見回すとあちこちにいる、そんな状態だった。去年までは。
ところが今年はリスの姿を時々見かける程度で生息数が激減している。
シロフクロウ |
代わりに増えたのはシロフクロウ。かつては見かけることさえ難しかったのに、昨年あたりから、ヌヴック(岬の先端)近くのオールドタウンサイト(昔の町があった場所)へ行くと、クジラの骨の上、古い家の上に止まっている姿を良く見かける。
シロフクロウがリスを全て食べてしまったとは思えないのだが(この付近にはネズミも多い)。
海も陸も何かが大きく変わり始めているのだろうか。それとも今年だけのことなのだろうか。
その答えはまだわからない。
0 件のコメント:
コメントを投稿