アゴヒゲアザラシの皮を剥ぐ |
ウミァックに張るためには、事前の処理が必要となる。
ウグルックの猟期は6月。
捕まえたウグルックは、脂肪が残らないよう、穴をあけないように、扇型のナイフ、ウルを使い、腹側から丁寧に皮を剥いでいく。
剥いだ皮は、毛の面を外側に、内側同志を合わせて丁寧に畳み、ビニール袋に入れて空気を抜いて密閉する。そして物置や海岸の砂の中など、暖かい場所に数ヶ月(8月頃まで)放置しておく(この時期のポイントホープの気温は氷点下まで下がることは無く、時には20度を越えることもある)。
ビニール袋に入れて密閉してあるものの、暖かい時期なのでハエが入り込み卵を産み、ウジがわくことも多いそうだ。
毛とともに剥がれ落ちた表皮(左側)と所々に毛の残る皮 |
「ウジは噛んだりしないんだから気にしなくていいのよ」
とお年寄りに怒られるのだそうだ。
しばらく放置してあったビニール袋を開けるとタンパク質が腐ったような独特な異臭が漂って来る。
ビニール袋の中の皮は、黒い表皮が変質し、ほとんどの毛は表皮とともに剥がれ落ちかかっている。
皮に紐を付けて、海に投げ込んで波で残った毛を洗い流す |
そこで皮に紐を付けて波打ち際に投げ込む。 波にもまれることで、残った毛が剥がれ落ち、ある程度の汚れも洗い流される。
ウミァックを1艘つくるためには、大きなウグルックの皮が 8枚程必要となるため、これを必要枚数分繰り返すことになる。
毛が残っているものはこの段階でこそげ落とす |
ところで写真の人たちが手袋をしているのは、手に匂いが付くと、なかなかとれない程臭いから。
今回の皮には切り取られて付いていなかったのだが、普通は、前足(前鰭)と後足(尾鰭)の部分は付けた状態でビニール袋に入れてある。
熟成され、非常に臭くなった手と足は、皮を剥いで肉の部分を食べるのだそう。
あまりに臭いので、食べるのは一部のお年寄りだけになってしまったが、美味しいとのこと。
皮の表面、裏面の汚れをこそげ落とす |
ここでわずかに残った脂肪や表面の毛、汚れなどをウルを作って丁寧にこそげ落とす。
少しでも脂肪が残っていると、ウミァックに張る際、皮の伸びが悪くなるとのと。
この状態で天候にもよるが1週間程干し続ける。
夜間は夜露で濡れる可能性があるので、ビニールシートなどをかけておく。 もちろん雨の日も濡れないよう、ビニールシートをかけておく。
1週間もすると、巨大なスルメイカのような色と形となり、叩くと「こんこん」と音がする程固くなる。
ここで夏場の作業は終了。
翌年の2〜3月、ウミァックに張る皮として縫い合わせるまで、乾燥した状態で物置に保管しておく。
縫い合わせる数日前、海氷に穴を開け、乾燥した皮を海水に数日浸けて柔らかくする。
近年、人によっては水道水に塩を入れた「人工海水」を作り、皮を浸ける人もいるとのこと。
柔らかくなった皮を縫い合わせ、フレームにクジラの脂を塗って滑りやすくした状態で、フレームに張る。
皮を張り終わったウミアックは、イキガックに乗せた状態で、しばらく天日にさらしておくと、紫外線によって漂泊され、船体は真っ白になる。
この状態で天候にもよるが1週間程干し続ける。
1週間弱干したもの |
1週間もすると、巨大なスルメイカのような色と形となり、叩くと「こんこん」と音がする程固くなる。
ここで夏場の作業は終了。
翌年の2〜3月、ウミァックに張る皮として縫い合わせるまで、乾燥した状態で物置に保管しておく。
縫い合わせる数日前、海氷に穴を開け、乾燥した皮を海水に数日浸けて柔らかくする。
近年、人によっては水道水に塩を入れた「人工海水」を作り、皮を浸ける人もいるとのこと。
柔らかくなった皮を縫い合わせ、フレームにクジラの脂を塗って滑りやすくした状態で、フレームに張る。
皮を張り終わったウミアックは、イキガックに乗せた状態で、しばらく天日にさらしておくと、紫外線によって漂泊され、船体は真っ白になる。
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