2019/04/01

クラウドファンディングのお願い(しません)。

以下、エイプリルフールネタですので、信じちゃいけません。ただし「海洋観測指針」は実在しいます。
すみません、久しぶりの投稿なのに極地ネタではありません。

先日、近所の古本屋さんへ行ったところ、ものすごい本を見つけたのです。
いや、普通の人には大した本ではないのですが、海に関わる人間にとっては大発見なのです。

つい最近まで、気象庁の発行していた「海洋観測指針」という書籍が海洋観測の基本として用いられておりました(近年、急激な観測技術の進歩により、新たな観測指針が必要とされているようです)。
この本「初歩 海洋学汎論」、その海洋観測指針の底本として使用された本なのです。しかし昭和10年(1935年)発行で発行部数は少なく、国会図書館でさえ収蔵されていない希少本となってしまいました。

そんな本が近所の古本屋に置いてあったのですから、見つけた時は小躍りするほどでした。

内容は例えば。。。
生物にとって大切な「溶存酸素量(水に溶けている酸素の量)」の分析は「ウィンクラー法」という方法を今も使っているのですが、この本では「ウヰンクラー氏の手法」となっておりました。使う薬品は今と一緒(「1液:伊液、2液:呂液」というのがすごい)。
「直径一尺の漬物桶の蓋をば舶用塗料で白く塗りて漬物石を取付ければセツキ氏の円盤として使い得るなり」ってなんのことかと思えば、水の透明度を測る「透明度板」の作り方のことでした。
(ちょっとマニアックすぎてわかりにくいですね、ごめんなさい)

海洋観測の基本「海象」として、波の高さ、うねりの大きさを記録するのですが、この頃は「凪」についても非常に細かく分類されていていました。
水産業で動力船がまだ主流ではなかった時代、いかに凪が大切だったのかがわかります(現在、凪は波高、うねりともに「0」の状態です)。
海で遊び人たちにとっては、興味がある分野ではないでしょうか。ちょっと詳しく書き出してみます。
例えば
 α凪:波もうねりもほぼ無いが、風によるさざなみが立っている状態。
 β凪:風が止み、水面が完全に平らになった状態。
 A凪:日出前後、各1時間の凪。通称「朝凪」。
 B〜T凪:日の出ている間を等分し、それぞれの時間体の凪のこと。
 U凪:日没前後1時間の凪。(注、今でいう「夕凪」のこと)
 V〜Z凪:夜間(日没後)の凪。

夜間照明が乏しかった当時は、夜に海に出ることは稀で、夜間の凪はそれほど重要ではなかったようで、昼間と比べて分類が貧弱です。
一方、昼間の凪が細かく分類されているのは、時間帯によって捕れる魚種、漁獲量が大きく異なってくるためだそうです。
この分類は、主に静岡県の三保半島の漁師の間で使われていたものをわかりやすくまとめたものだそう。

ところで。。。
学生時代からの友人で、海洋関係の出版社で編集をしている岩内真実という男にこの本を見せたところ「これは再版して海洋関係の大学に配らなくちゃならん」と鼻息も荒く、現在、再版に向けて関係者と交渉中です。
清水海洋学講習所、今は跡形もなく、静岡県の公文書にもほとんど記録が残っていません。編者の星丸望さんの関係者も見つからず。今も営業している民明書房に問い合わせたところ「著作権は切れているようだし、勝手にやれば?」とのことですが、せめて関係者の承諾はとらないと。
いずれにせよ岩内の出版社は金銭的に余裕がないので、クラウドファンディングで金を集めると言ってます。その節はよろしくお願いいたします。
特典はもちろん、再販した「初歩 海洋学汎論」の優先配布です。
詳細は追って連絡いたします。

2 件のコメント:

  1. お久しぶりです。相変わらず手が込みすぎてどこが嘘か全部はわからないよ。4月1日にここを覗くのも年中行事みたくなってます。今月末にはまたお出かけかな?現地レポ待ってます。

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  2. ご無沙汰しております。
    ま、僕の話の8割はウソですから。
    アラスカへ行ってるのもウソで、アフリカへ行ってるのかもしれないし。
    と言いつつ、また行きますけどね。

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