「昨日『まーすぅ』ってのもらってさ、久しぶりに食べたよ。シールオイルつけて食べるとうまいんだよ」
と言い出した。
何かと思えば、何かの根っこらしい。
なんでもネズミが食用として集め、地面の下の巣に蓄えておくので、昔はそれ人間が集めて食べていたそう。ネズミが集めたものは、綺麗に皮をむいてあって、すぐにでも食べられる状態だと(今回のものは、誰かが根っこ自体を掘ってきたそう)。
「シンゴ、すぐにでもネズミの巣を探しに行きそうだな? で、ネズミのうんこを間違えて食ってそうだよな」
と言って笑われる。
「ウンコだけど、うまいんだよ、って食ってるかも」
父ちゃん、冷凍庫からその「まーすぅ」なるものを出してきてくれた。
「これはネズミのしっぽか?」
「いや、まーすぅ、何かわからんけど、何かの植物の根っこだそうな」
皮を剥く前と後(幅は5mmほど) |
繊維質だが、見た目ほど硬くなく、苦味もなく、噛んでいるうちに甘さが出てくる。どこかで食べたことのある味だ。
「なんだとは言えないんだけど、どこかで食べたことのある味なんだよ」
と、とうちゃん。
えぐみのないごぼう? そんな感じ。見た目もごぼうの細いもの。
さて、食事の後、イヌピアック語の辞書やらなんやら色々調べてみると、まーすぅ、「Hedysarum alpinum」英語名は「Alpine sweetvetch(アルパイン・スウィートベッチ)」マメ科のイワオウギ属の植物であることが判明。花は時々見かける。
さらに「エスキモーポテト」の別名があると。
Hedysarum alpinumの花 |
以前、エスキモーポテトに関するエッセイを読んだことがあったものの、「ポテト=丸いもの」という固定観念があったこと、エッセイの舞台がどちらかと言うと内陸だったと記憶していたので、まさか身近にあるとは思ってもいなかった。
そのエッセイの中でも、ネズミの巣からいただくとあった。ただし、お礼に魚の干物を置いてくると。この辺の人たちはどうしていたのかは知らない。
面白いのは、この辺の人たち、ネズミを毛嫌いしていて、とても怖がっていること。ネズミがその辺を走りまわろうものなら、男女問わず大騒ぎして逃げ惑う。おそらく小さすぎて銃で撃てないからだろう。
天気が悪くて、風も強く、外を歩き回って写真を撮る雰囲気でもないので、天気が回復したら、まーすぅ、ちょっと探してみよう。
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