海獣を捕まえるビデオは、YouTube上にも上げてありますが、詳細は書いてませんね。
ちょっとだけ解説してみます。
ちなみにボートからのアゴヒゲアザラシ(ウグルック)の猟です。
氷上や海岸で待機して、氷の割れ目や池状になった水面に現れるアゴヒゲアザラシを捕まえる猟は、氷が無くなる時期が早まってきたこの5年ほどはやっていません。というか近年は、あっという間に氷がなくなってしまい、こういう猟はできないのです。
アゴヒゲアザラシ猟
ボートで走り回りながら、海面に現れるアゴヒゲアザラシを見つけます。この時期、たくさん泳いでいる小型のワモンアザラシとは頭の形、泳ぎ方が異なるので、慣れてくると多少離れていてもわかるようになります。
ボートで近づき、頭を狙って銃を撃ちます。即死する場合もあれば、目玉を撃ち抜かれても生きて逃げ回る個体もあります。
撃ったら素早くボートで近づき、沈む前に銛を打ち込みます。場合によっては、あっという間に沈んでしまい、銛を打ち込む余裕がないこともあります。
銛を打ち込むと同時に、アバタクパック(ブイ)を投げ込む人たちもいますが、我々の場合は、明らかに致命傷にならず、暴れそうな時以外はアバタクパックは投げ込まず、ロープを握って流れて行くのを止めます。
ボートに引き寄せ、まだ生きている場合は、とどめの一発を頭に打ち込みます。時々、脳が完全になくなっているのに動き回る個体もあり、生命力に驚かされます。
(写真下に続く)
死んだことが確認できたら、ウナーックというフックのついた棒で近くまで引き寄せ、上顎の歯茎と頰の間に穴を開け、そこにロープを通し、上顎を回して縛り、船に固定し、海岸まで運びます。
ボートからロープを外し引き上げます。2m程度のアゴヒゲアザラシの場合、重くて3人以上いないと、引き上げ、移動は難しいです。
アゴヒゲアザラシは、体温保持のための皮下脂肪が3〜5センチあり、死んだ直後も体温は残っているため、そのまま置いておくと内臓から腐ってくる可能性があります。そのため、ヘソの下から10センチほど切り込みを入れて、腸を露出させておきます。そうすることで、1日程度海岸の砂利の上に置いておいても、肉が痛むことはありません。
猟がひと段落した段階で、一旦海岸に置いておいた獲物を解体場所(我々の場合、町に近い海岸の定位置、キャンプ)まで運び、女性たちが解体します。
0 件のコメント:
コメントを投稿