2022/05/15

ポイントホープへ来ています。

 アンカレジまでのチケットを取った後、ロシアがウクライナへの侵攻を始めた。渡米できるんだろうか? と思ったものの、アメリカはほぼ静観状態(実際は色々やっているのだろうと思う)。問題なく渡航はできそうだ。
例によってコロナウィルス陰性証明が必要で、今回からはワクチン接種証明書も必要となった。デジタル化推進のなんの言ってる割りにものすごいアナログな手続きに唖然としながら接種証明書を取る。ぼったくりのような価格で陰性証明も取る。
必要なものが見つからなかったり、準備はギリギリまで進まず(これはものぐさのため)。

4月25日(月)、閑散とした羽田空港でのチェックインの際に上記書類を確認される。しかし、ちらっと見るだけなので、本当に必要なのか疑問になってしまう。アメリカ入国の際は、これらの書類は一切確認されなかった。
シアトル空港は人で溢れ、マスクをしている人は1割程度。数日前にマスクの義務化が解除され、以降マスク着用は任意とのこと。座る場所を探すのが大変なほどの混み具合。

ポイントホープ到着直前

無事にアンカレジへ到着。友人宅へ転がり込み、再会を喜ぶ。
水曜日のコツビュー行きの便は、コツビューが霧のために着陸できずキャンセルに。木曜日は満席で、結局ポイントホープ到着は、金曜日になってしまった。

到着時点で5頭のクジラが捕れていて、2頭ほどロストしており、4月下旬で猟期は既に後半。

ツルハシで氷を砕いてトレイルを作る
到着数日後、ようやく氷の上に。
新たなキャンプを設けるために、ツルハシで氷を砕き、トレイルを作る。2時間程度の作業で、握力がなくなる。

そしてそのままボートを水際まで運んでクジラを待つことに。2年ぶりのクジラ猟だ(一昨年は国内待機、昨年は7日間のアンカレジでの自宅待機終了後に到着。猟は終了していた)。
時々通り過ぎるベルーガの群れ。それを捕らえるべく銃を構える男たち。

ベルーガを狙う
氷の上にいるだけで幸せな気分になれる。

 クジラを追ってボートが出る。ベルーガの群れもたくさんやってくる。
ボートがクジラを追って出て行き、近くにやってくるベルーガの写真を撮っていると、突然すぐ横で、大きな噴気の音。振り返ると、真っ黒い大きな塊が水面から現れている。クジラだ。
慌ててシャッターを切り、その後沖にいるボートに知らせるべく手を振るが、沖に向かっているために、なかなか気がつかない。
ようやく戻ってきた我々のボートは、何度かクジラに近づいたものの、逃げられてしまった。

突如現れたクジラ

夜(といっても真っ暗にはならない)、気温はマイナス13度程度まで下がる。ほとんどの人はテントで暖まって寝ているが、しっかり着込んでいるためそれほど寒さも感じないので、そりの上で1時間ほど仮眠。
昼間も特に獲物がなさそうな時間に時間に仮眠。
とにかく外にいることが気持ち良い。

氷上生活3日目。誰かが銛を撃ったと連絡が入る。曳航を手伝うためにボートが出る。
昨年亡くなった兄を継いで、今年からキャプテンになった若者が銛を撃ったそうだ。

氷上のキャンプ
ようやくクジラを曳航しているボートが見えてきた。
間も無く解体作業が始まるため、キャンプ撤収の準備を始める。
60フィートだ、巨大だ、と色々な噂が聞こえてくるが、水中での大きさは本当にわからないことが多い(実際は50フィート弱)。
しばらくして我々のボートが戻ってきたので、昼食を食べてからキャンプを撤収する。

寒くても寝る

「これからどうするんだ?」
とキャンプテンに問えば、南風が強まりそうなので、とりあえず様子見で一休み、とのこと。

一休みしてから、クジラが引き上げられている氷上へ。既に胴体部のマクタックは剥がされている。南風が強くなり始めているためか、解体は早い。
我々の取り分(ニギャック)は「カー」と呼ばれる下顎の部位。水面に近く、時々波しぶきを被りながらの解体となる。次第に波風ともに荒くなっているので、素早く解体を済ませ撤収。

他のクルーの中には、ニギャックの一部しか回収できなかったところもあるそう。

クジラを待つ
そしてクジラは全て解体が終わる前に流失。厳しい自然相手ゆえ、そんなことは多々ある。

ちなみに、ほぼ同時期にNHKの取材班として、主にカナダで写真を撮影している大竹英洋さんが一人でやって来ていた。クジラの猟の様子が撮れるのか、はたまた何も撮れないのか、不安の中、撮影をしていたようだったが、見事に猟の様子や解体の様子を撮影することができ、日本で待機していた関係者は大喜びだった模様。
彼は既に町を去っており、今後、NHKの他のクルーと合流してアラスカ各地を取材するとのこと。
製作中の番組の趣旨を考ると、自分はどちらかというと邪魔な存在であろうから、例え画面に映っていたとしても、番組内で触れられることまずはなかろう。

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