丁寧に皮を剥ぐ |
例えばこんな感じのものができ上がる。
雨具
これはカナダのイヌイットのものだが、基本は同じようなもの。
また、チュイリックと呼ばれる、カヤックに乗る際の防水着も作られている。
さて、この腸の処理方法、意外とどこにも出ていないので、メモ代わりにここに記しておこうと思う。
胸骨を切りはずし内臓を露出させる |
アゴヒゲアザラシが捕れると、女性たちが集まって解体が始まる。
皮はウミァックに使うので、穴をあけないように、丁寧に剥がしていく。
皮を剥ぎ終わると、正中線上に切れ目を入れ、胸骨の関節部分を切り取り、内臓を完全に露出させる。
気管、食道を喉の辺りで切り取り、ニクスィック(小型のフック)で気管か食道を引っ掛けて下半身の方へ引く。腹膜を切り取ると、ずるずると内臓は体外へと引き出されて行く。
引きずれ出された内臓(2頭分) |
かつて、犬ぞりを使っていた頃であれば、余った内臓は犬のエサにしたのではないだろうか。
ところで、ポイントホープには、毎年のようにフェアバンクスから海獣の研究者がやってきて、内臓、皮下脂肪などのサンプルを採取していく。
何故か女性研究者しか来ないため、いつしか彼女たちは「ウグルックレディ」と呼ば
れるようになってしまった。アゴヒゲアザラシ女。。。
取り出された内臓からサンプルを集める。 彼女は海獣の研究者。 |
彼女たちの報告によると、ポイントホープ周辺のアゴヒゲアザラシは重金属の含有量は低く健康的だそうである。
彼女たちは必ず解体を手伝い、その上でサンプルを採取していく。
以前、(彼女たちかどうかわからないが)手伝いもせずサンプルだけ採取しようとして相当怒られた人たちがいたらしい。
さて、今回使う部分は小腸。非常に長いので、適当な長さをナイフで切り取る。
寄生虫(サナダムシ?) |
海岸に転がっている適当な大きさの小石を腸の中に入れて、小石とともに腸の中身をしごき出す。数回繰り返すと、腸の中は綺麗になる。
腸の中の寄生虫はまだ生きていて、うねうねと動いていることも多い。
ちなみに血液中にはアニサキスという寄生虫がたくさんいる。
腸の外側をスプーンでしごき、表皮を剥がしていく |
すぐに処理できない場合は水に浸けたまま、物置などの涼しい場所に置いておけば、数日間は保存も可能。
水に浸けておいた腸の端を探し出し、段ボールの上で、スプーンを使って端から表面の組織をこそげ落としていく。
腸はかなり強いので、それなりに力を入れてこそいでも、破れることはほとんどない。
処理の終わった腸 |
完全に組織がとれると、薄い膜だけが残る。
何度か水洗いをしてから、一方の端を紐で結ぶなどして閉じ、もう一方の端から空気を入れていく。
空気を入れて膨らませて乾燥させる |
空気を入れて膨らませた腸は、日なたであれば1日も干しておくと完全に乾燥し、油紙のような色のものが出来上がる。
これを適当に切り開き、縫い合わせれば、防水ジャケットになる。
ただし、縫い合わせる前に油(現在であればローションなど)をよく塗り込んで揉みほぐしておかないと、針を刺したところから破れてしまう。
また、水濡らしてから針と糸で縫い合わせても、比較的破れにくい。
ウミアックの模型に出来上がった腸を張ったもの |
本物のウミァックであればアゴヒゲアザラシの皮を張るが、模型の場合、ワモンアザラシの皮を張る人が多い。
しかし、うっすらと骨組みの透けて見える腸を張るのが自分の好み。
ちなみにこの模型、海岸で拾ってきた流木を素材に、接着剤を一切使わず、糸だけで組上げたもの。
昔のウミァックは釘もボルトも使わずに作られていたはずなので、きっとこんな感じだろう、と作ったもの。
沖縄の山羊の腸の、処分方法も、こんな感じでしたよ。男が解体して、女が腸を裏返して洗っていたよ。
返信削除沖縄の山羊の腸の、処分方法も、こんな感じでしたよ。男が解体して、女が腸を裏返して洗っていたよ。
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