実際、シールオイルは、ナッチャック(ワモンアザラシ)で作ることも多いけれど、ここではウグルックの脂肪を使ったシールオイルの作り方を。
※ウグルックの解体方法についてはまた別途
段ボールの上で数日間干す。 |
これを肉の面(内側)を表にして2〜3日、日光に干す。日差しが強ければ、1日でも表面が乾いて薄い茶色に変色するので、そうなると日干しは完了。
日に干すことで、食感、味わいが良くなるのだが、急ぎの場合には、干さなくても問題はない。
なお、干す際に、霧や雨で脂肪が濡れてしまうと傷んでしまうので、濡らさないように気をつける。
干す前に脂肪についた肉を綺麗に落としておくことが望ましいが、処理する際にまた綺麗にするので、それほど神経質になる必要はない。
端の部分、皮側の凹凸の激しい部分を切り取る。 |
この作業をしっかりしないと、オゴロックに濁りが生じたり、味が落ちたりする。
日に干した部分に肉が残っていれば、それは切り取る。横の乾燥した部分も切り取る。
明らかに乾き過ぎ、硬くなっている部分も同様。
クリーニング後の脂肪のかたまり。 少々失敗して脂肪が薄くなりすぎている。 |
バケツに入れた脂肪 |
バケツに入れた脂肪は、室内に入れて室温に置いておく。この際、蓋をして密閉してはいけない。
1日最低1回以上、手でよくかき混ぜる。かき混ぜることで液化が早く進むこともあるようである。
また、室温が低いとなかなか液化が始まらない場合もある。
液化が始まり、短冊状の脂肪のかたまりは次第に縮んでいく。それに伴い、容器の中は金色の液体で満たされいく。
ある程度液化が進んだ段階(固形物がおおよそ半分になった程度)で完成。
すぐに使用しない場合は、そのまま冷凍庫に保存する。
すっかり縮んでしまった短冊状の脂肪は「オゴロガック」と呼び、食用となる。
これにウグルックの干物を漬け込んだものが「ミックー(ミプクー)」である。
ミックーは、ニンジンとともに食べることが多い。
これはニンジンに含まれる脂溶性のビタミンAを摂取するために合理的な方法だと思われる。
かつて電気冷蔵庫のなかった時代、シールオイルは万能の保存料として使われていたそうで、卵(ウミガラスの卵など)シールオイルに漬けて冷暗所に保存しておくと、長期保存が可能だったそうである。
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