2016/09/04

シールオイルの作り方

ウグルック(アゴヒゲザラシ)を捕まえた際、必ず作るのが「オゴロック」と呼ぶシールオイル。
実際、シールオイルは、ナッチャック(ワモンアザラシ)で作ることも多いけれど、ここではウグルックの脂肪を使ったシールオイルの作り方を。

 ※ウグルックの解体方法についてはまた別途

段ボールの上で数日間干す。
ウグルックから得られた布団状の脂肪のかたまり。
これを肉の面(内側)を表にして2〜3日、日光に干す。日差しが強ければ、1日でも表面が乾いて薄い茶色に変色するので、そうなると日干しは完了。
日に干すことで、食感、味わいが良くなるのだが、急ぎの場合には、干さなくても問題はない。
なお、干す際に、霧や雨で脂肪が濡れてしまうと傷んでしまうので、濡らさないように気をつける。
 干す前に脂肪についた肉を綺麗に落としておくことが望ましいが、処理する際にまた綺麗にするので、それほど神経質になる必要はない。

端の部分、皮側の凹凸の激しい部分を切り取る。
日干しした脂肪を20cm角程度に切り、汚れた部分、乾燥しすぎた部分などを取り除く。
この作業をしっかりしないと、オゴロックに濁りが生じたり、味が落ちたりする。
日に干した部分に肉が残っていれば、それは切り取る。横の乾燥した部分も切り取る。
明らかに乾き過ぎ、硬くなっている部分も同様。

クリーニング後の脂肪のかたまり。
少々失敗して脂肪が薄くなりすぎている。
この作業にはウル(女性用扇型のナイフ)を使うと非常に作業がしやすいが、脂身相手なので、すぐに切れ味が落ちるため、タッチアップ(他のウルなど固いもので刃をこすり簡易的に研ぐ)したり、やすりやシャープナーで刃を研ぎながらの作業となる。

バケツに入れた脂肪
 クリーニングが済んだ脂肪のかたまりは、幅2〜3cm、長さ5〜10cm程度の短冊状に切り、プラスチックのバケツなどに入れていく。

バケツに入れた脂肪は、室内に入れて室温に置いておく。この際、蓋をして密閉してはいけない。

1日最低1回以上、手でよくかき混ぜる。かき混ぜることで液化が早く進むこともあるようである。
また、室温が低いとなかなか液化が始まらない場合もある。
液化が始まり、短冊状の脂肪のかたまりは次第に縮んでいく。それに伴い、容器の中は金色の液体で満たされいく。

ある程度液化が進んだ段階(固形物がおおよそ半分になった程度)で完成。
すぐに使用しない場合は、そのまま冷凍庫に保存する。

すっかり縮んでしまった短冊状の脂肪は「オゴロガック」と呼び、食用となる。

これにウグルックの干物を漬け込んだものが「ミックー(ミプクー)」である。
ミックーは、ニンジンとともに食べることが多い。
これはニンジンに含まれる脂溶性のビタミンAを摂取するために合理的な方法だと思われる。

かつて電気冷蔵庫のなかった時代、シールオイルは万能の保存料として使われていたそうで、卵(ウミガラスの卵など)シールオイルに漬けて冷暗所に保存しておくと、長期保存が可能だったそうである。

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